日本三大美祭のひとつ「春の高山祭(山王祭)」を楽しむ






春の高山祭(山王祭)
春の訪れを告げる「春の高山祭(山王祭)」は、旧高山城下町の南半分の氏神様・日枝神社(山王様)の例祭として、毎年4月14日・15日に行われます。
その起源は、飛騨を治めた金森氏の時代(1585年〜1692年)にさかのぼり、屋台の登場は1718年頃と伝えられています。
祭では、「動く陽明門」とも称されるほど豪華絢爛な12台の屋台が曳き揃えられます。これらの屋台は、ユネスコ無形文化遺産に登録され、また国の重要有形民俗文化財にも指定されています。精巧な木彫や漆塗り、金箔細工など、飛騨の匠の技が随所に光ります。
からくり奉納
見どころの一つが「からくり奉納」です。
お旅所前では、「三番叟(さんばそう)」「石橋台(しゃっきょうだい)」「龍神台(りゅうじんだい)」の3台による人形からくりが披露されます。熟練の綱方が巧みに綱を操り、まるで命が宿ったかのように人形が舞う姿は圧巻です。
御巡幸(ごじゅんこう)
祭の中心行事「御巡幸」は、まるで時代絵巻を見ているかのよう。
裃姿(かみしもすがた)の警固や獅子舞、闘鶏楽(とうけいらく)など、伝統衣装に身を包んだ数百人の行列が、神輿(みこし)を中心に町を練り歩きます。
14日午後に日枝神社を出発した神輿は、氏子の家々を巡りお旅所で一泊。翌15日午後には再び神社へと戻ります。
行列の荘厳な雰囲気と、町全体に響く雅楽やお囃子の音色が、春の高山を彩ります。
屋台曳き揃え
祭のハイライトともいえる屋台の曳き揃えでは、12台の屋台が所定の場所に並び、その壮麗な姿が来場者を魅了します。
神楽台・三番叟・龍神台・石橋台の4台は、高山陣屋前の広場(お旅所前)に集まり、他の8台は町の各所で披露されます。
細部まで緻密に造られた屋台は、まさに「動く工芸品」です。
夜祭(よまつり)
14日夜には、昼とはまた違う幻想的な「夜祭」が催されます。
各屋台にはおよそ100個もの提灯が灯され、やわらかな光が闇夜にゆらめきながら町をゆっくりと巡ります。
順道場を過ぎると、屋台曳き手たちは「高い山」という曳き別れ歌を歌いながら、それぞれの屋台蔵へと帰っていきます。
漆黒の町並みに提灯の光が流れる様子は、まさに高山の春の風物詩です。
高山祭は、春の「山王祭」と秋の「八幡祭」をあわせた総称で、16〜17世紀に始まったといわれます。
四百年以上もの時を経ても変わらず受け継がれるこの祭りは、今もなお高山の人々の誇りであり、春の訪れを告げる華やかな風物詩です。